いよいよはじまった 地方公務員の団体交渉権をめぐる違憲訴訟

なぜ地方公務員に労働組合法を適用しないのか?
増大する不安定な立場の非正規公務員に、ずっと認められていた労働組合法の適用を、なぜ2020年に突然、適用できなくしたのか?
それらは憲法28条(労働基本権)に反しないのか?
2025年12月5日に組合が提訴した訴訟の第1回口頭弁論が、2026年2月12日に大阪地裁で満員の傍聴の中、開かれた。
髙田執行委員長が以下の通り意見陳述を行い、組合が本裁判において問題にする論点とその理由を明らかにした。
20250212意見陳述書pdf.
<教育合同 意見陳述 全文>
私は、原告の大阪教育合同労働組合の執行委員長として、この裁判の始まりにあたり意見を申し述べます。
私は、2001年に組合に加入し、執行委員、副執行委員長を経て、現在は執行委員長として組合活動に関わっています。
組合は1989年の結成以来、教育現場で働くすべての労働者を対象とし、私立学校・公立学校などの区別なく組合員を組織するいわゆる「混合組合」として活動してきました。組合には地方公務員法が適用される組合員と適用されない組合員が存在し、これまで組合として様々な労働問題に対処してきました。
近年、組合が取り組んできた重要な問題に常勤・非常勤講師の雇用継続の問題があります。1年雇用とされることから、次年度に雇用が継続されるのかということが講師にとっては極めて深刻な問題です。組合はこの問題について毎年、大阪府・大阪府教育委員会に団体交渉を申し入れ、府・府教委も団交に応じていました。ところが、この府・府教委の対応が2010年から急に変わり、府・府教委は「管理運営事項」などとして団交を拒否するようになりました。やむなく、組合は大阪府労働委員会に救済申立てを行いました。団交拒否はその後も繰り返され、組合は毎年、府労委に救済申立てをしました。ところが府労委は何故か私たちの申立てを認めようとしません。しかし、中央労働委員会は府労委命令を取り消し、大阪府に団交に応じることを命じました。中労委命令の取り消しを求めて大阪府が提訴した行政訴訟でも東京地方裁判所・東京高等裁判所・最高裁判所は中労委命令を正当とする判断をしました。そして2019年12月、府もようやく態度を改め、中労委の関与により「従前の労使交渉の経過並びに最高裁決定、東京高裁判決を踏まえ解決に努力する」との和解が成立しました。
私たちは、これで深刻な雇用継続の問題について、府・府教委と団交によって解決を図ることができる、と大いに期待しました。
ところが、翌年の2020年4月からの地公法改正を機に、府・府教委は、また「管理運営事項」として交渉には応じないとしました。私たち組合は、再び、労働委員会に救済申立てをしなくてはならなくなりました。労働委員会は、団交拒否に対して最終的には救済命令を出したにもかかわらず、今度は「会計年度任用職員という一般職地方公務員の問題であり労働組合法が適用されない」という理由で門前払いをするようになりました。地公法改正のときに出された附帯決議の要旨を国会公式サイトで見ることが出来ますが、そこには「従来の非常勤・臨時職からの移行に当たって不利益が生じないように助言・支援すること」とあるにもかかわらず、門前払いをするのです。府・府教委は、組合との交渉が「地公法上の職員団体としての交渉」としても、問題は「管理運営事項」であるとして交渉には応じません。組合は、組合員の雇用継続という深刻な問題を組合と府・府教委との交渉・協議により解決を目指そうとしても、交渉が拒否され、どうしようもないという状況に再び、置かれることになりました。
労働組合が「使用者と団体交渉ができない」ということは致命的な問題です。雇用継続の問題だけではなく、非常勤講師などは、次年度のコマ数がどのぐらいになるのか、勤務曜日はいつになるのか、兼業先との調整が常に問題となっています。団体交渉が行われれば、次年度労働条件について、不当な取り扱いをされる恐れなく、納得できる説明を求める機会が得られます。そして、2020年度までは組合の要求が通らずともそのような機会は保障されていたのです。
私たちが理解できないのは、同じように働いてきた組合員の雇用の問題について、以前は団交拒否に対して労働委員会に救済を求められたのに、何故、今はそれができないのか?ということです。その理由が「公務員には労働組合法が適用されない」という形式的なものであるとすれば、それを定めている法律の正当性を疑わざるを得ません。公務員も労働者です。憲法に定められた労働基本権が理由なく否定されることが許されてはならないと思います。
何十年も前の「公務員は安泰、労組法が効かなくても大丈夫」といった昭和の時代とは違い、「今」は、地方公務員の非正規率40%を超える自治体が出てきている状況で、民間企業の非正規率に匹敵するありさまです。時代は変わりました。
私たちは、この裁判で「今」を問題にしています。古い、時代背景が違うときの判例は要りません。「労働組合法で保障された権利が認められない労働者がいるのは、間違っていませんか、考えてください。」とお願いしているのです。
この重大な問題に裁判官のみなさんが、今の現状と未来に真剣に向き合っていただきたく、心からお願いする次第です。
以上


